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2「醜いカモノハシ様の顔を呈した大吉」

獣医ER物語 2020.01.15

カルテナンバー2:「醜いカモノハシ様の顔を呈した大吉」

 

それは、K市郊外のブラウン宅。夜9時30分ごろの出来事であった。

3歳になる雑種犬、大吉が突然「クーン、クーン」と鳴き始めたのである。オーナーであるエーコ・ブラウン婦人は、不安になり大吉のところへ行ってみると、それはいつもの凛々しい雄の犬とは思えぬ面構えで、眼瞼(まぶた)や口の周辺が腫れ上がり、喩えるならまるでカモノハシの様な顔に置き換えられていた。

驚いたブラウン婦人は、かかりつけのDr.ミッチー・Kに電話を入れた。
Dr.ミッチー・Kの携帯のベルが鳴った。

その時、彼は4歳になる長男をお風呂にいれ、パジャマに着替えさせていたところであった。電話を受けたDrKは、長男に事態を説明したが、4歳の子供には、事態がわからず、一緒に寝たかったのにと泣くだけであった。
妻に寝かしつけてもらうよう頼み、帰ってきたら必ず一緒に寝ると約束をし、泣きじゃくる我が子を後に病院に向かった。

病院で大吉に会ったときのその顔は、犬とは思えぬ醜い顔でヒキガエル+カモノハシの様相であった。私は、笑いをこらえ、大吉の診療にあたった。顔面だけが腫れ、かゆみを伴っているようであったので、これは何かのアレルギーが疑われた。そこで、すぐステロイドと抗ヒスタミン剤の注射を行った。

治療後、話を聞いてみるとプラスチックの咬む玩具を本日近くのホームセンターから買ってきて、それを夜与えたとのことだった。

「接触性のアレルギー」ですよ。これからは、大吉に玩具を与えるときは、プラスチック類は避けるよう指示した。話が終わり30分もすると徐々に顔の腫れが引いてきてオーナーは、安心して帰路に着いた。

 

Dr.ミッチー・Kからのワンポイントアドバイス:

「接触性のアレルギー性皮膚炎」とは、ペットによってはプラスチック製の食器や玩具などに触れる事によってアレルギー反応が起こり、口や目の周りが赤くなり、かゆみを伴い、時には顔が腫れたりします。

かゆみの程度は様々で、激しくかいたり、こすったりすることによって皮膚が傷つきバイ菌感染を起し悪化する事もあります。
ですから口や目の周囲が赤かったり顔が腫れたりした場合は、プラスチック製の食器や玩具の接触がないかどうか注意して下さい。

 

不定期更新-by Dr.ミッチー・K


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