犬の診療について

ワンちゃんの健康管理、ワクチンやフィラリア、ノミ・マダニの予防などをご案内します。

はじめてお家に来たとき

ついかまい過ぎてしまいますが、新しい環境に慣れるまで愛情を持って、なるべく静かな環境で過ごさせて下さい。

混合ワクチンはお家に来て落ち着いた後、1週間以上たってからの方が良いでしょう。この間に健康チェックや検便をしてお腹に寄生虫がいないかどうか調べましょう。

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わんちゃんの健康管理スケジュール

1ヶ月半以上であれば、ノミ、ダニの予防は年間を通じてスタートしましょう

2ヶ月頃: 第1回*混合ワクチン接種と検便
3ヶ月頃: 第2回*混合ワクチン接種と検便
4ヶ月頃: 第3回*混合ワクチン接種と検便

*混合ワクチン接種と検便 は接種開始時期により接種回数は異なります。

*狂犬病ワクチン接種(生後91日以上)

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6~7ヶ月頃:

乳歯から永久歯に抜けかわる時期です。
小さいときからの歯みがきの習慣をつけましょう。
この時期以降から雌の避妊手術、雄の去勢手術が可能です。

1年目から:

フィラリア予防開始

1~6歳頃:

・予防接種:混合ワクチン、狂犬病予防ワクチンの追加接種は1年に1回です。
・フィラリア予防: 毎年血液検査で感染していないことを確認してから予防薬を飲みましょう。
・定期検査: 予防接種時やフィラリア予防開始時の血液検査時に健康チェックの血液検査も同時に行う事が出来ます。健康時の体温、脈拍数や血液検査の数値を知っておくのも必要です。その他に、歯石のチェック、お腹の寄生虫(検便)、ノミ、ダニの寄生がないかチェックしましょう。
・避妊、去勢手術: 避妊、去勢手術を考えている方は、早い時期に済ませてしまう事をお勧めします。

7歳以上~

7歳頃からシニア期に入ります。
予防については今までどおり行ないましょう。
定期検診:定期検診は、若い時以上に必要になってきます。
最低1年に1回は定期検診を受けることをお勧めします。
病気の早期発見のためドック.ドックをおすすめします。
食事:成犬用から老齢犬用に変わります。

当院でのワクチン接種について

当院では、ワクチン接種で来院したワンちゃんのうんちの検査を実施しております。
特に仔犬はお母さんからお腹の寄生虫をもらってくることがあります。
大人でもお腹に虫が感染している場合があります。

健康診断も兼ねていますので、ワクチン接種時には親指の頭ぐらいのうんちを持ってきて下さい(前日のものでも可)。
うんちの検査は10~15分位時間がかかりますので、お持ち下さった方は受付時に提出して下さい。

~当院でのワクチン接種の流れは~

● まず元気食欲、排便排尿の状態など、家での健康状態を問診します。
● 次にお尻から体温計で熱を計り、聴診器で心臓の音、肺の音に異常がないか検査します。
● そしてワンちゃんの体を触って異常がないか診察します。
● 検便でも異常がなければワクチンを接種します。またワクチンの副作用、接種後の注意事項も説明します。

動物は言葉がしゃべれないため、体の不快感を普段とは違う行動で表現する場合もあります。
この様なちょっとした変化は、毎日一緒に生活している飼い主さんでしかわかりません。

“最近うちの子おもしろいかっこうするの”

とかちょっと変だな、少し変わったかな、
この位だいじょうぶかな、
日頃疑問に思っていた事がありましたら、
どんなことでも獣医師にお話し下さい。
また、食事、しつけ、歯石などについても
ワクチン接種のこの機会にご遠慮なくご相談ください。

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ワクチンについて

1.ワクチンってな~に?

 ~伝染病を防ぐにはワクチン接種を!~
ワクチンは、感染症の原因となるウイルスや細菌の毒性を弱めたり、また毒素を無くしたもので、これを注射することによりその病原体に対するに免疫を作ります。
ワクチン接種で予防できる病気には、感染すると重い症状を現したり、命にかかわる恐ろしい病気もあります。ワクチンを接種することにより、万が一感染しても病気が発症しないように、または発症しても軽症で済むように体を守ってくれるものです。
狂犬病予防ワクチンは、1年に1回です。
混合ワクチンは、1年に1回と推奨されていますが、近年では抗体検査(伝染病を防ぐ免疫力を知ることができる血液検査)を行った結果で、必要なタイミングでワクチンを接種することもありますので、詳しくは当院にご相談ください。

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2.ワクチンの接種時期

~いつ注射するの?~
生まれたばかりの仔犬は、母親の初乳を飲むことによって、病気に対する抵抗力をつけます。
これを移行抗体と言います。しかし移行抗体は数週間から数ヶ月で消えてしまい、その時期は個体差があり、病気の種類によっても様々です。また、移行抗体が残っている時期にワクチンを接種しても、十分な免疫をつけることが出来ない場合があります。
ワクチンは数社のメーカーから販売されてあり、それぞれの特性があります。
そのためワクチン接種開始時期、接種回数は多少異なります。動物病院によって扱っているワクチンメーカーが違いますので、接種開始時期は動物病院に問い合わせて確認してください。

3.ワクチンの副作用

~ワクチン接種後の注意事項~
ワクチン接種後約15分以内に突然のけいれん発作をおこすアナフィラキシーショク反応があります。
また、接種後2~3時間以内には顔面が腫れたり蕁麻疹があらわれるアレルギー反応があります。その他に、一過性の発熱、元気、食欲の減退、下痢、嘔吐、注射部位の軽度の腫脹、硬結があります。
これらの副作用がでる確立は、1万頭に1頭ぐらいの割合です。
ワクチン接種後は、なるべく安静に努め、シャンプーも2-3日は控えてください。
上記の副作用の症状が見られたり、何か変と感じたらワクチンを接種した動物病院に連絡して下さい。

アレルギー反応が万が一起こった場合に対応するため、
接種時間は、午前中の診察時間内または、
午後はなるべく早い時間にワクチンを接種すると同時に、
接種後2時間ぐらい家庭で様子を観察できる日に
ご来院するようおすすめします。

4.ワクチンの種類は?

残念ながら全ての病気にワクチンがあるわけではありません。
犬では狂犬病のほか、1種類から10種類の混合注射があります。
混合注射とは、一本の注射の中に数種類のワクチンが含まれているものです。
これらのワクチンの組み合わせは、製造メーカーによって多少異なります。
何種混合を接種するかは、年齢、生活環境、地域性、その他により変わってきますのでよくご相談のうえ最も適したワクチンの接種をお勧めします。

犬のワクチン(当院で接種可能なワクチン)

狂犬病ワクチン

★5種混合ワクチン
・犬ジステンパー
・犬アデノウイルス1型(犬伝染性肝炎)
・犬アデノウイルス2型
・犬パラインフルエンザ
・犬パルボウイルス感染症

★8種混合ワクチン 犬ジステンパー
・犬アデノウイルス1型(犬伝染性肝炎)
・犬アデノウイルス2型
・犬パラインフルエンザ
・犬パルボウイルス感染症
・犬コロナウイルス感染症
・犬レプトスピラ病 黄疸出血型
・カニコーラ型

フィラリアについて

1.フィラリアってな~に

フィラリアは、蚊によって媒介されるとても怖い寄生虫です。
体長約17~30cmのそうめんのような白い虫で、犬の心臓や肺に寄生し肝臓、腎臓などにも様々な異常をきたし、全身に悪影響がでます。犬の他にも猫、たぬきにも寄生し、非常にまれですが人の感染例もあります。

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2.フィラリアが感染するとどうなるの

フィラリアに感染しても、はじめのうち目立った症状はありません。
しかし、年々様々な症状を現してきます。

フィラリア症の症状
・ 食欲がなく、徐々にやせてくる
・ 元気がない
・ 散歩を嫌う
・ ゲーゲーという咳や、呼吸が荒くなる
・ お腹が腫れてくる(腹水の貯留)
・ 赤い尿をする。
・ 興奮すると倒れてしまう
・ 歯茎が白い
・ その他
上記に挙げた以外にも様々な症状があります。
特に、フィラリアの急性症状に大静脈症候群と呼ばれているものがあり茶褐色の尿(血尿)が特徴で、短時間で死亡してしまう場合もあります。
これは、大静脈内のフィラリア虫体が血液の流れを悪くし、そのため赤血球が破壊されるために起こると言われています。慢性症状の犬が急性症状を表す事もあります。

3.フィラリアが感染しているかどうかわかりますか?

フィラリアに感染しているかどうかは、血液検査でわかります。
血液検査にもいくつかの方法があります。
おもに血液中のミクロフィラリア(フィラリアの子虫)を検出するものと、フィラリア成虫が出す特殊な蛋白質(抗原)を検出する方法があります。
前者は、フィラリア成虫がオスまたはメスのみの場合など、感染していてもミクロフィラリアがでない(オカルトフィラリア症)ことがあります。
後者の検査法の方がより確実に、感染しているかどうか検査できますが、寄生数が極端に少ない場合、陰性と判定される場合があります。またこの検査は特殊な検査キットを使用するため、検査費用はミクロフィラリア検査より一般的に高くなります。

4.フィラリアは予防できます

さて、フィラリアに感染しないようにするにはどうしたらよいでしょうか?
1. 室内で飼育しているので蚊に刺される心配はない。
2. 蚊取り線香、マットを犬の周りにつける。
3. うちの子は毛が密だから蚊に刺されない。
4. うちはマンションの5階だから蚊はいない。
5. まだ仔犬だからだいじょうぶ
6. フィラリア予防は去年したからだいじょうぶ。
7. フィラリア予防薬を飲んでいる。

など、いろいろな声を聞くことができます。

でも、私たち人間が蚊に刺されないように肌を出さないような服を着たり、虫除けスプレー、蚊取り線香をたいても、あれーいつの間にか蚊に刺されてしまった!と言う経験ありませんか?

夏場は暑いのでお散歩は夕方にしますよね。
夕方は蚊がたくさん飛んでいますよね。
いくら毛が密な犬だって鼻に毛がはえていますか?
耳やお腹の毛は薄くないですか?
マンションの高層にだって蚊は入り込みますよね。
蚊取り線香の焚いているところに犬はじっとしていますか?

これでフィラリアに感染しなかった犬は結構運のいい方だと思われます。
地域差はありますが、ここ川越では外飼いの犬で3年予防しないと50~60%の割合でフィラリアに感染すると言われています。

やはり、フィラリア感染を予防するには、毎月1回予防薬を飲むことが一番確実な方法と思われます。

5.フィラリア予防薬はどんな薬?

予防薬は、蚊を避ける薬でありません。
飲んでいても蚊に刺されます。

では、どうして予防できるのでしょうか?
フィラリアはフィラリア感染子虫をもった蚊が犬の皮膚を刺すことによって体内に入り、その感染子虫が成長し心臓内で成虫になります。
予防薬は心臓に到達した成虫を死滅させることはできませんが、心臓に到達する前のフィラリアは死滅させる事ができます。

ですから、1ヶ月に1回薬を飲むのは、1ヶ月間に蚊に刺されて体内に入ったフィラリアの感染子虫を心臓に入る前に駆虫するという事です。

予防薬を始める時期は、蚊が出始めた1ヶ月後から蚊が出なくなるまでです。
その年の天候と住んでいる環境に左右されますが、5月~6月頃から開始し、11月または12月までの投薬をお勧めします。

6.もし、フィラリアに感染していたら...

不幸にも、フィラリアに感染していたらどうすればいいのでしょうか?

感染した犬の症状の程度、年齢、寄生している数、あとは犬の飼い主さんがどこまで治療を望まれるかにより対処の仕方が異なってくると思います。

~感染犬が若く、症状がまだ現れてない場合
それ以上フィラリアの寄生数を増やさないように予防をすすめていきます。

ミクロフィラリア(心臓内のフィラリア成虫が産みます)が血液中に見られる場合、いきなり予防薬を飲ませる訳にはいきません。
もし飲ませた場合、血液中のミクロフィラリアが一度に死滅し、死滅したミクロフラリアが肺や腎臓その他の臓器の細い血管がつまってしまうことでショック症状を起こしたり、アレルギー反応を起こして具合が悪くなったり、死亡した例も報告されています。重篤な症状に至らなくても一過性に元気食欲不振になる犬は多く見られるようです。

その他に、成虫を直接駆除する薬もあります。
いずれの場合も、ショック症状が起きないようにステロイド剤を服用後にこれらの薬を投薬するのが一般的です。
ミクロフィラリア駆除後、健康な犬と同じ予防ができます。
~感染犬がフィラリアの重篤な症状があらわれている場合
今後の予防より、現在の症状の緩和に努める対処療法が中心になります。
血液の流れをスムーズにするような薬、利尿薬、咳がひどければ鎮咳薬、ステロイド剤などが主に使用されます。お腹に腹水が溜まり呼吸が苦しい場合、お腹に針を刺して腹水を抜く場合もあります。

これらの治療方法は1つの例にすぎません。
フィラリアの症状はまちまちで、治療法もこの限りではありません。

愛犬がもしフィラリアに感染していても、決してあきらめないで下さい。
獣医師とよく話しあって、自分の犬の治療方針をたてましょう。もちろん飼い主さん側がどこまでの治療を望むかによっても、大きく変わってきます。

狂犬病

狂犬病は、人畜共通感染症の中でも非常に恐れられている病気の一つです。

狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれたり舐められたりすることで感染し、発症するとほぼ100%死亡すると言われています。
日本でも過去何度か流行を繰り返しましたが、昭和31年を最後に発生は報告されていません。

しかし近年では、毎年1万頭以上の犬や検疫対象動物外の多くの動物が輸入され、いつ再び狂犬病が日本に入ってもおかしくない状況であります。したがって、人の安全のためにも狂犬病予防注射は必要とです。

現行の狂犬病予防法では、生後91日齢以上の全ての犬に予防注射が義務付けられています。
その後は1年に1回の接種です。毎年4月頃市町村で集合注射および犬の登録を行っております。
動物病院では1年中いつでも接種することができます。
混合ワクチン接種後1ヶ月以内は他のワクチンを接種できませんので注意して下さい。

 

当院では、狂犬病予防注射の登録手続きを飼い主さんに変わって
代行するサービスを行っています。
時期によっては出来ない事もありますので、
詳しくは受付にお申し出下さい。

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