「獣医ER物語」

(まえがき)  

これは、当時某国における獣医科病院の診療時間外や緊急医療を回想した物語である。

ここ近年、某国における獣医医療はめまぐるしく発展を遂げると同時に、ペットブームは過去類を見ないほどの盛り上がりを見せ、多くの家庭で犬や猫が飼われるようになった。
しかしその反面、獣医師の地位向上にはさほど変化はなく、時間外や休日、また24時間診療といった公共機関もなく、ペットオーナー達は緊急時の不安を抱かずにはいられないのが現状である。かといって開業獣医師一人が24時間、365日仕事をするのは不可能な事である。

そこで、某病院経営者は、緊急を要する患者に携帯電話の番号を伝え、緊急時に備えてもらうことにした。

この物語には、獣医師Dr.ミッチー・Kとその家族もしばしば登場する。なぜなら開業獣医師は、診療だけでなく獣医師会や獣医学会の仕事で日夜を問わず動いている。そのため睡眠時間を削り、愛する家族との団欒時間を犠牲にし…日々が続くのである。
しかし、忙しいからといって家族を蔑ろにするわけにはいかない。家族の理解と協力があってこそ、開業獣医師は、患畜の診療に全神経を傾けることができるのである。開業獣医師がどのようにして、診療に全神経を傾けることができるのか、それをご理解頂くためにも、このストーリーの中には敢えて家族を登場させている。

普段の診療時間であれば、助手のDrやVT(動物看護師)などのスタッフにサポートしてもらえるが、この時代のこの国では、時間外の開業獣医師は全てをDrが一人でこなさなければならない(例外の病院もあるが、実際の現状は厳しいのである)。
当然、後片付けと掃除もひとりでこなす。Drとは、聞こえがいい様であるが、そんな裏方の仕事も理解していただければ、と思う。

 

不定期更新-by Dr.ミッチー・K

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